神葬祭・年祭

神葬祭の歴史

 我が国には、古事記・日本書紀にも記述があるように、仏教が伝わるよりも遥か昔から行われてきた「神葬祭」という神道式の葬儀があります。
仏教伝来以降は、急速に仏教の形式による葬儀が普及し、江戸時代になると寺請制度(キリスト教の信仰を防ぐ為、人々は誰でも必ず寺に所属しなければならないという制度)が実施された事から、その傾向はますます強くなりました。
そのような時世の中、国学の興隆によって国学者らによる神葬祭の研究も行われるようになり、神職とその嫡子に限って神葬祭が許可されるようになったのです。明治時代になると、一般人に至るまで神葬祭が許可されるようになりました。今では、厳かで儀式もわかりやすく、しかも質素なことから今日では、神葬祭が増える傾向にあります。

神葬祭の心得

1.神葬祭の包み
白黒の水引を選び、表書きは「玉串料(たまぐしりょう)」あるいは、「御霊前(ごれいぜん)」と書きます。市販のものには、蓮の絵がついた仏式用が多いようですがそうでないものを選びましょう。

2.神葬祭に参列した場合、
お参りは忍手(しのびて)で

神葬祭での拝礼は、亡くなられた方を偲び慎む心を表すといった意味から、音を立てずに拍手をします。これを忍手と言います。また、忍手でお参りする期間は、五十日祭が終わるまで忍手でお参りするところが多いようです。

3.神葬祭以後の参拝と
神棚のおまつり

葬儀に関わる間は、故人のおまつりに専念し、神社参拝や神棚のおまつりを中断します。そして、一般的には、五十日祭をもって忌明(いみあけ・きあけ儀式に関わる諸儀の終了)とされ、神職に清祓をしていただき、それまで遠慮してきた神棚のおまつりを再開します。

年祭について

 仏教の法律・回忌にあたる儀式を神道では「年祭」「霊祭(みたままつり)」といい、五十日祭の後、命日に行われる一年祭、そして三年・五年・十年・二十年・三十年・四十年・五十年と続きます。故人の御霊を慰め、偲び家族の元気な姿をご覧いただき、子孫繁栄と家運隆昌を祈ります。
また、春と秋のお彼岸(春季、秋季霊祭)やお盆に慰霊祭をすることもあります。
毎月一日・十五日には榊 を取り替え、毎日神棚のおまつりと同様に米(ごはん)・塩・水(お茶)をお供えし、時々に季節の果物や故人の好物をお供えすると、なおよいでしょう。
御霊は、家族・子孫からのおまつりやお参りを受ける毎に清まり霊戚を増しその家の守り神(祖霊)として、より大きな力で子孫をお守りすると考えられています。